アケコン漫遊記第3回アケコンの歴史【レトロアケコンから自作まで】
ここ最近、完全新作アケコンの登場がなくて、ちょっとテンションが低い私です。
アケコンに限らず、ゲーミング系の新作デバイスの登場サイクルが長めになっていますね。
世界的に大流行している某アレの影響が多々あるのは明白でしょう。
しかしながら今年は格ゲーラッシュなのでデバイスメーカーさんも頑張ってもらいたいという希望もありますね。
ということで今回はにわかに盛り上がる格ゲー業界において長きに渡り愛され、様々な進化を遂げてきたアケコンの話をしたいと思います。
アケコンってそもそも何なのか
ゲームをプレイする為にはコントローラーが必要になってきますよね?
家庭用ゲーム機の代表格であるファミコンの時代からゲーム機の操作はパッドコントローラーで行うのが主流でした。
そもそもコンピューターゲームのメインストリームはアーケード、つまりゲームセンターが前身として存在しています。
コンピューターゲームが一般的に認知され、ブームとなり、多くの人にプレイされていったのがゲームセンターに置かれているようなアーケードゲームでした。
操作形態はスティックとボタンになっており、多少の差はあれど新たに筐体が設計されても基本的にはこの作りを踏破しています。
このゲームセンター筐体と同じ感覚でプレイする為に開発されたのがアケコン=『家庭用アーケードコントローラー』となっています。
人によってはアケステ名称の方がしっくり来る人もいるでしょう。
次々とアーケードゲームが家庭用ゲーム機に移植されていった中で、ゲームセンターと同じ操作性で遊べるということで、ゲームセンター主体で遊んでいたプレイヤーにとってほぼ必須のような存在となっていました。
番外:日本と海外、レバートップの違い?
アケコン・ゲームセンター筐体ともに国によってレバートップの違いがあります。
日本人がイメージするアケコンレバーはボールトップ(丸形)となっていますが、日本以外の海外ではバットトップと呼ばれるナス型レバーが採用されています。
これはアーケードゲームが登場した時からの今までずっと続いているレバーの歴史とも言えます。
昨今では海外のプレイヤーでもボールトップを愛用する人、日本のプレイヤーでもバットトップを使用する人が増えてきています。
アケコンが多く普及した影響かも知れませんね。
ファミコン時代のアケコンはお粗末?
アケコンと呼ばれるものの原型はファミコン時代から存在をします。
ファミコンにも多数の外部入力装置や周辺機器が販売されており、その中のひとつにアケコンが存在しました。
様々なアケコンが出ましたが、やはり有名なのは「アスキースティック」で、セイミツ製のパーツを使っている本格的な作りとの製品です。
なお、任天堂純正品もありますが、こちらは海外向けに発売されたものであり、当時日本で気軽に入手できるものではありませんでした。
この時代はゲーセンと同じプレイ感で遊べるという部分が特に魅力であった時代でした。
SFC辺りからひとつのジャンルが台頭してきます。
そう、格闘ゲームです。
ストリートファイター2の大ヒットを皮切りに、餓狼伝説等のアーケードゲームの人気作の移植やSFCオリジナルの格ゲーなど様々なタイトルが生まれました。
しかしながら、やはり任天堂純正のアケコンは海外展開のみで日本では入手困難、サードパーティー製のアケコンに頼らざるを得ませんでした。
現在でもアケコンの大手として有名なHORI社製のアケコンが登場し出したのもこの辺り。
セイミツ製のパーツを使うなど他社とは比較にならない品質となっていました。
意外と言っては失礼ですが周辺機器もしっかりとした物が作られており、謎メーカーの謎周辺機器ばかりではなく、パーツまでしっかりとこだわって製作されているものが多かったですね。
とはいえ、FC・SFC時代のアケコンを持っている人はゲーセンに通っていた人がほとんどではないかと思われます。
スティックに触れたことが無い人はスティックを購入しようと思いませんからね。
ちなみに筆者はスト2ブーム時に小学生だったため、ゲーセンに通うよりも友達の家に通ってました。
この辺りもアケコンを入手するかしないかに関係あるかも知れません。
格闘ゲーム最盛期。家庭用で練習は当たり前の時代
PS・PS2、サターン・ドリキャス辺りの時代になると昔以上に格闘ゲームが増えてきました。
ゲームセンターに設置される最新の格ゲーは少し待てば家庭用に移植され、ゲームセンターで対戦・家では練習といった光景を多く見るようになりました。
店舗大会も含め格闘ゲームのイベントも多く開催されており、名実ともに格ゲー全盛期と呼べるでしょう。
この頃のアケコン界隈はHORIの一強と言っても過言ではありません。ゲーム専門店に行くとかならず周辺機器コーナーにはHORIの製品が並べられているほどでした。
アケコンと言えば「コンパクトジョイスティック」「リアルアーケード」「リアルアーケードPro」辺りが主流だったと記憶しています。
私は鉄拳3、ZERO3で本格的に格ゲーへと参戦。
PS用のコンパクトジョイスティックを使用していました。
この頃からお手頃なアケコン~お高いアケコンの差が顕著になってきたように感じます。
私の使用していたコンパクトジョイスティックはお手頃な値段で入手でき、それなりにゲーセン感覚を味わえるのですが、レバーが固かったりボタンの押し心地が悪かったりで値段相応かなと思いました。
しかも結構カチカチと音も響いたため、夜プレイしていると親に怒られるなんてこともありました。
入門機からハイエンド、はたまた怪しげなアケコンまで
時は流れ、PS3・XBOXという当時の次世代機ブームにより、ゲームセンターの様相も変化してきました。
ネットワークを利用してのオンライン対戦や協力プレイが主流になり、ゲームセンターで人気だった格闘ゲームやシューティングゲームは家庭用主体へと変化していきます。
一部メーカーはゲームセンター用に開発を行っていましたが、かつて盛り上がりを見せていた頃よりも勢いは落ちてきていました。
アーカイブスの配信も行われ、かつて旧機種で販売されていたタイトルを次世代機でプレイできるということもあってか、イベントや大会も次世代機準拠で行われることも増えていき、それに伴い、プレイヤーは次世代機用のアケコンを購入するようになっていきます。
ゲーミングデバイスという言葉も登場し、昔よりも多くのデバイスメーカーが登場してきたのもこの頃です。
ゲームセンターの筐体に採用されていた業務用パーツを積極的に使用し、アーケード筐体と遜色ない操作性のアケコンが登場しはじめ、かつてゲーセンでプレイしていたプレイヤーも含め、新たにアケコンを求める人たちが増えてきました。
それはもう様々なアケコンが販売され、オーソドックスなものからレバー操作がボタンのもの、キーボードのキーのものといった自身のプレイルーツに応えてくれるものや、住宅事情を加味した静音性の高いアケコン、大会やイベントで使用できるようにスタートボタン等を誤爆しないようにレイアウトを工夫したものなど、多種多様なアケコンが生まれ始めたのがこの時期でした。
にわかに自作人気も高まり、日本でも自作アケコンを作るプレイヤーが増えてきたのもこの頃でした。
正に世は大アケコン時代といっても過言ではない時期です。
プロユースアケコン登場から自作アケコンの盛り上がり
ここ10年でのアケコン界隈はかなりのスピードで進化をし続けています。
格ゲーのプロゲーマーが登場してからは特に顕著だと感じており、昨今ではそのプロゲーマー達の運用にも耐えられるアケコンも多数登場しています。
プレイヤー側の購入理由といいますか、どのグレードを使用するかというのも結構分かれており、様々なプレイヤーの用途に合わせて多くのアケコンが登場。
カジュアルに楽しみたい人、格ゲーに復帰して軽く楽しみたい人は1万~1万5000円辺りの機種が人気となっており、少し本格的にプレイしたい人は2万~3万辺りのものを選ぶ傾向にあります。
3万以上の物となってくると、かなりこだわりが強い人が選択する印象です。
自作アケコンも安く作ると2万程度~、こだわって作ると3万4万を超える世界となっています。
競技シーンを視野に入れている人は3~4万程度のものを選択する傾向にあり、プロゲーマーの人達は2~3万辺りの信頼のおけるメーカーの機種をカスタムして使用している印象を受けます。
また、自作アケコンが盛り上がっていることで各種パーツも様々なものが登場。
ケースやボタンすら自作販売するネットショップも出てくるほどです。
これからは
・メーカー品
・オーダーメイド品
・セミオーダー品
の3種を自分の用途に合わせて選択していく時代となりますね。
ここ最近の新作アケコン不足
ここ最近、周辺機器メーカーが新作アケコンを出していないと感じます。
感じるというより、ほぼ出てきていません。
ObsidianとPearlのように、ボタンレイアウトが違う色違いといった販売方式は取られていますが、いわゆる「新たな金型」を使用した新作アケコンがまったくといっていいほど登場していません。
2021年はHORI社が発売したFighting Stick αだけとなっており、少し業界的にも寂しい感じがします。
2020年のEVOが中止になったことが大きな要因ではないか(2021年も開催が怪しかった)と考えていますが、少なからず格ゲー周辺機器の元気がないは事実です。
2021年には無事にEVOが開催される流れとなりましたので、年末から年明けに向けて色々な発表がある…と期待しています。
↓アケコン漫遊記第1回【プロゲーマーに聞く】
↓メンテをしてアケコンを長く使おう