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秋葉原の「人」に聞く。第2回~カレー専門店ベンガルオーナー浅見~

あんどー水樹

秋葉原の人に聞く」第2回。
秋葉原で活動する人々や、秋葉原で働く人々にインタビューを行い、胸に熱く滾る秋葉原愛をお届けするという企画となっています。
また、インタビューを行った方からお友達を紹介していただき、秋葉原の輪を繋いでいこうという趣旨もあります。

第2回目の今回は、前回のササキチ氏からの紹介でカレー専門店ベンガルのオーナー・浅見氏にお話を伺ってきました。

↓秋葉原の「人」に聞く、第1回目はこちら。

https://akihabara-bc.jp/akihabara-no-hito-sasakiti/

カレー専門店・ベンガル(BENGAL)とは?

秋葉原含む神田界隈と言えばカレーの激戦区として知られており、おおよそ神保町・御茶ノ水・秋葉原・末広町辺りまで複数のカレー専門店がひしめき合っています。
そんなカレーの街で40年以上営業をしている老舗がこちら、ベンガルなのです。


所在:〒101-0021 東京都千代田区外神田3-6-1丸山ビル1F
電話:03-6260-8879
営業時間
11:30~20:00
※月・木は15:00閉店
定休日:無し
※年末年始含む臨時休業有

現在こちらのオーナーである浅見氏は二代目。
先代からお店を譲り受け、カレーの世界に飛び込みました。

今回は秋葉原で長らく愛されている老舗の歴史や浅見氏のルーツを拝聴させて頂きました。
氏の歴史は秋葉原の歴史とリンクしており、かなり貴重な話も聞くことができました。

秋葉原にベンガルを出店した当時の話

浅見氏と秋葉原、ひいてはベンガルへの話となるのですが、まずは先代がベンガルを秋葉原に出店した当時の話を聞いてみました。

Q
もう40年以上秋葉原で経営を続けているベンガルですが、出店当時のお話をお聞かせください。

A
まず、私はベンガルの二代目ということで、先代からお店を受け継いでいます。
前オーナーからの歴史を話すと長くなるのですが、前提として日本が丁度経済の成長期という背景だったこと。
そんな中、秋葉原には「小林貿易」という香辛料を取り扱う貿易会社がありました。
前オーナーはそこで働き、後にベンガルを作ることになります。

▲ベンガルに刻まれた歴史のスタートは貿易会社から始まった?

ふとしたきっかけでインドに魅せられ、旅行に行ったことが前オーナーと香辛料の出会いだったといいます。
そんな前オーナーが帰国し、香辛料に関係する仕事に就きたいと小林貿易の門を叩き入社しました。
貿易と名前がついてますが、その会社で香辛料の加工・販売まで行っており、時にはスパイスで有名な大きな企業に商品を卸していたこともありましたね。

Q
ということは、前オーナーは香辛料関連の仕事に従事してからカレー専門店を開いたということですね。

A
まだまだその時代はハーブや香辛料といったものが日本では有名ではありませんでした。
勿論カレー専門店どころか洋食を出すお店も少なかったときです。
銀座のナイルさんや、新宿の中村屋さんといった有名店はご存じかと思いますが、ベンガルはその後くらいから始まっています。
残念なことに様々な事情で小林貿易が倒産・民事再生手続きとなっている時と同じくらいだったかと思います。
小林貿易の方もベンガルのことを応援してましたし、いい関係性だったと思っています。

▲移転前のベンガル。より『電気街』方面に初代店舗があった。

浅見氏と秋葉原。そのルーツはアルバイトから?

Q
次は浅見氏と秋葉原のお話を聞きたいと思います。
元々秋葉原でお仕事をしていたのでしょうか?

A
訳あって無性に働きたい・とにかく働いて稼ぎたいと思い、在学していた大学休学をしました。
お金もそうですけど、自分を試してみたいとも強く考えていました。
始めたアルバイトは洗剤の配達。
ハイエースに業務用洗剤を積み込んでエリアを回るというアルバイトでした。
1年ほど働いたのですが、腰を悪くして配達業務を行うことができなくなったんですね。
ただ、その親会社が営業でやらないかと声をかけてくださりそこで4年ほど働きました。

その会社を辞めた時、僕は結婚していたのですが収入がなくなってどうしようかと考えていました。
仕事は任せろ!」なんて言って、嫁には家にいてもらったのにこんな結果になってしまい…
そうは言っても青い顔してるだけじゃ仕方ないので、アルバイト情報誌をめくってたのですが、そこに香辛料の輸入専門会社の求人があったのです。
芳林小学校近く、タバコ屋さんが入っているビルの会社でしたね。

英語をもっともっと話せるようになりたい、業界内で活躍している人と会っても気後れしないようになりたい。
そんな思いもあってすぐさま応募しました。
応募した日は台風だったんですけど、電話口から「すぐ来れますか?」って(笑)
流石に台風の日はって思ったんですけど、こんないい話は無いなと…
朝電話したんですけど、すぐに床屋に行ってボサボサの髪を切って、そのまま車で面接に行きました。

▲サラリーマン当時の浅見氏。香辛料の輸入に全力だった時代。

ベンガルと浅見氏の繋がりと不思議な縁

Q
ここでようやく香辛料・カレーといった繋がりが出てきたと思うのですが、ベンガルさんとの繋がりはどの辺りからになるのでしょうか?

A
台風の日に面接に行ったと話をさせて頂きましたが、その日面接を受ける為に会社の受付に行ったんです。
本日面接に来ました浅見です。」って言ったら、「面接…カレー屋さんの方ですか?」と返ってきたんです。
後で知ったのですが、求人ページの半分が香辛料の会社、もう半分がベンガルの求人情報になっていたんです。
僕はカレー屋さんの方は見ていませんでしたから…半分半分で求人を出していたのですが、繋がってるなんて思っていませんでしたし…
なので、本当の出会いというのはもう求人ページを見ていたときからなんですね(笑)

-既に視界には入っていた、と(笑)

で、香辛料を扱う会社に入ったはずなんですが、昼休みになるとなぜかベンガルさんの手伝いをしていたんです。
お昼くらいになると電話がかかってきて、それでこう言われるんです
ちょっと浅見君、カレー屋の手伝いに行ってきて」って(笑)
その時はもうネクタイを外して、シャツの腕まくって、エプロンをして手伝いに行ってましたね。
入社してすぐ手伝いに行ってました。今思うと不思議な経験でしたね。

そこの会社では社長に沢山の事を学ばせてもらいました。
香辛料について、貿易について、ほぼ平日は勉強会を開いてくれましたし、その勉強の一環として有名なインド料理屋に連れて行ってくれました。
凄くお世話になった会社ですし、凄く好きな会社だったのですが残念なことに6年後には運悪く、経営が上手くいかず…

その後目をかけてくれていた知り合いの社長さんが秋葉原に事務所を作ってくださり、そこで働くことになりました。
唐辛子の扱いが日本で一番大きな会社で、そこでは自分の得意な分野でお仕事をさせて頂きました。
その会社では9年くらい働いていましたね。

▲初代店舗の看板は、赤地に白文字で歴史を感じさせるデザイン。

その頃でしょうか? ベンガルの初代オーナーから連絡があり「最近物忘れも激しくなってきちゃったし、浅見さんカレー屋をやらない?」と。
会社を移りながらも、移った先で取引があったので長い間良い関係を築けていました。
ただ、自分はまだまだ香辛料のお仕事をしたかったので、3年くらいは断っていたんですね。
ベンガルを継ごうと思ったきっかけがありまして、ある日初代オーナーから連絡があり「どうしてもあなたにカレー屋をやってほしい」と再度打診されました。
何度も打診されていましたし、その日はもう「そろそろ腹くくるしかないかな」って思いながらお店にいったのですが…
「先ほどお電話頂いて…」と言ったら「何のお話?」って言われました。もう覚えていなかったんですよ。

今からもう17年くらい前になりますか…もう自分の方の会社は縮小してベンガルを引き受けることにしました。

カレー専門店ベンガルを継いで

Q
ベンガルの二代目としての人生を歩み始めましたが、カレー専門店を継いで特に変わったところなどはどこでしょうか?

A
引き受けたのが50歳くらいからなのですが、今まで従事したことのない仕事ということと、まだその頃は自分の仕事の方もあったので大変でした。
ただ、まぁ…カレーってね、面白いんですよ(笑)
今までは貿易のような、物を動かす・人の作ったものに値段をつけて流す、といった仕事ばかりやってきました。
メーカーさんに卸したりして、物を作っているのを見るとちょっと羨ましかったんですね。憧れていたというか…

▲カレー専門店の経営は「楽しい」「面白い」と日々充実しているようだ。

ベンガルで働くようになってからは、「新しい味」「新メニュー」といった何かを作るということがすぐに出来、尚且つ反応もすぐに貰えるようになりました。
お店に出てるとダイレクトに反応を貰えますし、そういう楽しさって物事の大きさだったり金額だったりじゃないんだなって感じましたし、この飲食という業界に入って初めて物を作る楽しさを知りました。
経営者なんて顔して自分にカレー屋が務まるかと不安でしたが、もう自分の方からドップリ入っちゃいました。

年齢的な部分もあるんでしょうけどね。

ベンガルオーナー・浅見氏の秋葉原おすすめスポット

Q
秋葉原の変わりゆく街並みと歴史を見てきた浅見氏おすすめの秋葉原スポットを教えてください。

A
今、秋葉原はかなり変わってきているじゃないですか。
これからもどんどん変わっていきますし、無くなっていく所、変わっていく所が沢山あると思います。
どちらかと言うと、ちょっと風俗営業っぽい店が増え良くない方向に変わっていっているのかな?とも思っています。
よろしくない出来事がニュースになったり新聞に載ったりしているので…決してそういう話題が多いわけではないですけど、目についてしまいますよね。
今だからこそ、僕のお店だけでなく、秋葉原に古くからある所・皆さんがご存じの有名な所、長らく頑張っているお店も多いので、そういう秋葉原でお店を出して一代でずーっとやっているような、昔から秋葉原で活動している人のいるような所に行ってみて欲しいですね。

▲時代に合わせベンガルの経営方法も変化してきている。

第2回、秋葉原の「人」に聞くを終えて

今回、秋葉原で長くお店を出している老舗カレー専門店・ベンガルの浅見オーナーにお話を伺いました。
秋葉原でおすすめのカレーは?という質問に必ずといっていいほど上がる「カレー専門店ベンガル」。
秋葉原で愛されるお店は味だけでもなく、歴史だけでもなく、しっかりと人に根付いた営業を続けてきた賜物でしょう。
もちろんカレーの味も一級品なので、秋葉原にお越しの際は是非お店に足を運んでみてください。

↓秋葉原の人に聞く第1回

https://akihabara-bc.jp/akihabara-no-hito-sasakiti/

↓秋葉原のカレー専門店まとめ

https://akihabara-bc.jp/curry-restaurant-akihabara/

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